アビス強化…
自分はこれまでアビスカースに対してあまり向き合ってこなかった。リスクに対してリターンが見合っていない感じがしたからである。
そこで、今回はそれぞれのアビスカースがどのくらい当たりなのかを考察し、アビス強化に備えようと思う。
一応、エアプではなくいくつかのアビスカースは実地での感触を踏まえてはいるが、書き出しからも分かる通り、筆者自身が実際にすべてのアビスカースを受けた武具を運用しての感想という訳ではないため注意されたい。
考察の対象
今回はルルブ2記載の通常のアビスカース表のみを評価の対象とする。すなわち、『リプレイ〈ブレイブネスト〉冒険者たちの幻獣戦線』記載の追加アビスカース表については今回は考慮しない。
一応、簡単な評価を述べると、追加アビスカース表は、「バード技能にとっては痛いがそれ以外にとってはデメリットなし」と言った風に、通常のアビスカース表に比べて限定的な条件のカース、つまり多くのPCにとってアタリとなるカースが多い傾向にある。
「GMとPCの許可があれば、追加アビスカース表を含めた72種類から無作為にアビスカースを選んでもよい」とのことなので、アタリの確率を増やしたいならGMに相談してみてもいいだろう。
アビス強化の意味
先に考察の結果の一部を伝えると、「防護点を上げる」「魔法ダメージを軽減する」目的でアビス強化を施すと、少なくない確率でむしろ防御性能を下げてしまう。
それに比べると、与えるダメージが減少するアビス強化は少ない。
よって、資金・アビスシャードによほど余裕がない限りは、アビス強化は「武器の命中力・攻撃性能強化」、そうでなくても「判定パッケージ強化」(鎧)「回避力+1」(盾)に当てるべきだと筆者は判断している。
評価基準
今回、アビスカースをデメリットの重さと条件の二軸で評価していきたいと思う。重さとは、条件を無視したときのデメリットの効果の程度を指す。条件は、そのカースが常に効果を発揮するものか、それとも時折顔を出すに過ぎないのかということを表すものだ。
また、筆者自身のセッションを囲む環境が評価に色濃く反映されているものであるということもここに記しておきたい。
デメリットの重さ
デメリットの重さは大まかに3つの評価に分かれる。
- 致命的:判定への重大なペナルティ、行動の大幅な制限など。
- 重い:判定への限定的なペナルティ、与えるダメージの減少、受けるダメージの上昇など。
- 軽い:冒険者ランクダウン、ガメルの減少など。
デメリットの条件
デメリットの条件に関しても大まかに3つの評価に分ける。
全面的:どんな状況でも、多くのビルドのPCがデメリットを受ける。
場合による:魔法職によっては致命的、有用なアビス強化の内容と食い合うなど、ビルド/状況による。
限定的:ほとんどの局面でデメリットを受けない、無視できる。
また、アビス強化という、ほとんどの場合戦闘力を上げるために行われる強化の性質上、戦闘においてデメリットが重いものは重大な評価を、逆にデメリットが非戦闘時に限られるものは軽いものとして扱っている。
アタリ・ハズレのアビスカース
個別のアビスカースの詳細な評価に移る前に、アタリ・ハズレについて簡単に述べておく。
リセマラ終了確定レベル
最もデメリットのないアビスカースは「正直者の」(6-1)と「醜悪な」(5-1)が双璧をなす。これらはほとんど純粋に強化された武器と何も変わらない。
続いて、非戦闘時の判定ペナルティである「悪臭放つ」(4-6)「唸る」(5-2)のほか、「栄光なき」(5-6)「我慢できない」(6-4)もほとんど無視できるペナルティである。「重い」(2-2)「つきまとう」(6-5)は、限られた特定のビルドにとっては大外れだが、それ以外の殆どのビルドでは大当たりである。
良心的
上に挙げたものの他で、多くのビルドでアタリに分類できるのは、「自傷の」(1-1)「差別の」(1-5)「難しい」(2-2)「過敏な」(2-5)「古傷の」(5-4)あたりだろう。「足絡みの」(4-4)も、15000G程度の費用で永続的にデメリットを踏み倒せるため、財政状況次第ではアタリといえる。
「ふやけた」(5-3)も、上に挙げたものに比べれば劣るものの、どのビルドでも明らかなハズレに比べれば妥協できる程度のデメリットであるため、当たった場合はキープをおすすめする。
「脆弱な」(1-5)もハズレとは言いがたいため、防御力強化のためのアビス強化でなければ許容範囲だろう。
最後に、「おしゃれな」(3-5)「乗り物酔いの」(6-2)の二種は、裁定やプレイングに大きく依存するが、やりようによってはほとんどデメリットのないアビスカースとなるため一考に値する。
ビルドによる
PCがどんなビルドかによって評価が180度変わるものもある。
大別して、近接職であれば「嘆きの」(1-1)「たどたどしい」(3-1)「代弁する」(3-2)「定まらない」(4-2)はアタリとなる可能性が高い。逆に、後衛職であれば「鈍重な」(4-1)「錯乱の」(4-3)がアタリとなる可能性が高い。
ここには挙げなくともPCのビルドによって評価が大きく変わるものは多いためPCのデータと相談されたし。
ハズレ
ほとんどの場合で明確にハズレと呼べるアビスカースは、「優しき」(1-3)「軟弱な」(2-3)「陽気な」(2-6)「施しは受けない」(3-3)「まばゆい」(5-5)の5つ、次点で「碧を厭う」(6-3)だろう。これらはPC側から避けるのが難しく、かつデメリットの効果の程度が甚だしいものである。これらがついた武器を使うくらいなら、何もついていない武器を使ったほうがマシだろう。
「無謀な」(1-6)「死に近い」(3-4)「マナを吸う」(3-6)「滑り落ちる」(4-5)もビルド/状況によっては致命的な状況を作り出す可能性があるため、PCの役割によっては強化のし直しを検討してもいいだろう。
アビスカースの個別評価
グループ1
1-1.自傷の-軽い・場合による
重さ:軽い
条件:場合による
クリティカルでのダメージ上昇を狙う火力型フェンサーにとっては発動してしまいやすいアビスカースとなる。
ただし、デメリットの内容自体はHP5点減少と、アビスカースを積極的に行っていくLv帯では大したデメリットにはならない。ただし、クリティカルを狙うタイプの前衛職はHPがそこまで高くない可能性が高いため、油断はできない。
1-2.嘆きの-致命的・場合による
重さ:致命的
条件:場合による
魔法職、シューターはこのアビスカースを引いてはならない。
一方ファイターなどの近接職で、マルチアクションなどを用いた支援を行わない場合は無視できるため、積極的に引きたい。ただし、【ヴォーパルウェポン】【バークメイル】や、特に【パラライズミスト】もアビスカースの対象に含まれるので注意。
1-3.優しき-致命的・全面的
重さ:致命的
条件:全面的
言うまでもなく、敵キャラクターに対して攻撃・魔法行使を行う可能性のあるキャラクターは避けるべきである。
プリーストなどで支援・回復のみを行う限りは無視できる他、フェアリーテイマー・デーモンルーラー・ライダーの妖精・魔神・騎獣の行動にはカースは及ばない。
1-4.差別の-重い・限定的
重さ:重い
条件:限定的
与ダメージ減少は、命中・魔法行使判定へのペナルティに比べるとそこまで重いデメリットではない。しかし、ダメージディーラーがアビス強化を行うときは火力が上がることを期待しているはずなので、そういう場合のガッカリ感は随一。ダメージディーラー以外であればデメリットなし。
ランダムに決定した分類が蛮族や魔神など、出てくる頻度の高い分類である場合は厄介なデメリットになる。ジャングル舞台のキャンペーンであれば動植物は避けたい、など評価は変わってくる。
1-5.脆弱な-軽い・全面的
重さ:軽い
条件:全面的
1回のセッションで一度は発動してしまうだろうカース。とはいえ、1回の戦闘で10回魔法ダメージを受けるとしても10点のダメージでしかないため、HPの低いキャラでなければほぼ無視できるだろう。
ただし、目的のアビス強化が鎧・盾の「魔法ダメージ1点減少」である場合は真っ向からの帳消しになってしまう。鎧・盾を防御力強化を目的に強化したい場合はかなりガッカリなアビスカース。
毎回消魔の守護石を使えば帳消しにできるため、一応金で解決できる問題である。
1-6.無謀な-重い・全面的
重さ:重い
条件:全面的
近接職にとってはかなり痛いアビスカース。
ただし、元から防護点が0点の〈ポイントガード〉などであれば実質踏み倒せる。射程の長い魔法職であれば、物理ダメージの攻撃はあまり飛んでこないと踏んで妥協してもいいだろう。
「脆弱な」と同じく、防御力目的のアビス強化の場合はかなりガッカリなアビスカース。
グループ2
2-1.重い-軽い・場合による
重さ:軽い
条件:場合による
アビス強化対象となる武具の必筋に対して、筋力が十分に高い場合はデメリットがない。
筋力を重点的に伸ばす余地のある純ファイター・ライダーファイターなどであれば狙いに行きたいアビスカースである。一方、敏捷を伸ばしたいスカウトや回避型の近接職、知力も伸ばしたい魔法戦士にとっては悩ましい。特に、実質デメリットが2倍となるフェンサーにとっては致命的。武器であれば、オーダーメイド加工で一応対応可能である。
2-2.難しい-重い・場合による
重さ:重い
条件:場合による
アビス強化を行った武具を使っているかどうかは関係ないため、魔法職でも火力・回復魔法で威力表を振る場合は適用されてしまうことに注意。
振るう威力が高いほど重いデメリットとなり、威力100であれば最大12点もダメージが減少してしまう。魔法職で《魔法拡大すべて》を取っていれば、威力確実化を用いてほぼデメリットを無効化できる。
自動失敗扱いになっている訳ではない(追加D/魔力分のダメージは入る)ため、「出目が③④の場合なんてそもそも大した火力出ていないし、いいか……」と割り切って運用してもいいだろう。
2-3.軟弱な-致命的・全面的
重さ:致命的
条件:全面的
精神抵抗力判定は、冒険者レベルが高くなっていけば毎セッション1回は行う上、失敗すると致命的な結果を招く可能性が高い。言うまでもなく避けたいアビスカース。
一応、〈信念のリング〉や〈月光の魔符〉で帳消しにできる、と言えなくもないが、アビス強化1回で受けるメリットに比べると、かなり重いデメリットであることに変わりはない。
バードで精神力ボーナスが高い、シャドウであるなどによって精神抵抗力が他パーティメンバーより高い場合は、あえてこのカースを受けてもいいだろう。
2-4.病弱な-致命的・場合による
重さ:致命的
条件:場合による
「軟弱な」の生命抵抗力版。精神抵抗力判定に比べ、PC側が振る機会は明らかに少ないためマシ。ただ、ドラゴンのブレスなど致命的な大技に対して生命抵抗力を行うことも割とあるため、カチあった場合は「このカースでなければ……!」と涙をのむこともあるだろう。
それ以外でいうと、生命抵抗力判定は毒や病気に対して行うことが多いため、毒・病気に対抗する手段を持っていると安心だろう。
動植物の魔物など物理的手段に訴える魔物が持っている傾向が強いため、キャンペーンの雰囲気によっては致命的に鳴る。
2-5.過敏な-重い・限定的
重さ:重い
条件:限定的
属性決定表の出目次第で軽重がかなり変わってくるカース。例えば精神効果属性のダメージを与える手段は皆無と言っていいため、そちらを引くことができれば万々歳。また、ドワーフが炎属性(・高レベルであれば純エネルギー属性)を引くことができればかなり嬉しい。
特定の属性のダメージを軽減する手段は魔法や装飾品に散在しているため、そちらで対処してもいいだろう。
2-6.陽気な-致命的・場合による
重さ:致命的
条件:場合による
行動判定全般へのペナルティという重いカース。精神抵抗力判定に失敗しない限りデメリットが発生しないため、〈月光の魔符〉を買い込んでおくといいだろう。
どれだけ精神抵抗力が高くてもファンブルしてしまえば関係ないため、いくら精神抵抗力を積んでも不安が拭えない。「陽気な」というフレーバーとは裏腹に、次第にパラノイアとなっていくこと必至。
グループ3
3-1.たどたどしい-重い・場合による
重さ:重い
条件:場合による
魔法使いにとっては避けたいカース。ただし、魔力自体が下がるわけではないため、支援・回復の点数は下がらないほか、火力魔法も半減前提で撃つこともできる。効果量も-1であるため、どのみち「優しき」よりはマシである。
一方、純近接職であれば当たりとなるカース。
3-2.代弁する-致命的・場合による
重さ:致命的
条件:場合による
テキストに書いてあるとおり、フェアリーテイマー・マギテック(や、場合によってはバードなど原語が関係する職業)は絶対に当たりたくないカース。それ以外の場合であれば、ロールプレイに支障は出るだろうが、データ的にはほぼデメリットがないと言ってもいい。また、ナイトメアであれば発声が必要なくなるため、デメリットが帳消しとなる。
このカースを受けるときは、パーティに魔法文明語を解する者がいるかどうかだけでも確認しておこう。
3-3.施しは受けない-致命的・全面的
重さ:致命的
条件:全面的
バフ系の魔法の多くが「抵抗:任意」であるため、セッションにつき一回は発動してしまうだろう。毎ラウンド《魔力撃》のリスクだけ受けるようなものなので、全アビスカースの中でトップクラスに重いデメリットを持っている。このカースが出たなら、ほぼ確実に強化し直したほうがマシな結果となるだろう。
なお、「対象:自身」の魔法や賦術も基本的に「抵抗:任意」となっているため注意。その原則に照らせば練技も「抵抗:任意」となるはずだが、幸いにも未定義状態なのでセーフ。
3-4.死に近い-致命的・場合による
重さ:致命的
条件:場合による
生死判定に大幅なペナルティを受ける稀有な効果。常にHPを正の値に保っておけそうなら一応デメリットを軽めに見てもいいだろう。
行動判定にデメリットがある訳ではないため、やられる前にやる、という精神のキャラにとってはむしろキャラに合致する、ちょうどいいカースになるだろう。
逆にグラップラー/フェンサーでかばう役が隣にいない場合などは不安がつきまとう。また、レンジャーの場合《不屈》のよさを活かせなくなってしまうため、避けた方がいい。
3-5.おしゃれな-軽い・全面的
重さ:軽い
条件:全面的
魔法ダメージ増加など、他のカースにも「金で解決できる問題」なものは多々あるが、こちらはまさに金の問題そのもの。
戦闘中に何かしらのメリットがあるわけではないため、捉え方によってはかなりアタリのカース。GMの裁定によるが、PCごとの頭割りにする前のパーティ全体の報酬をうっかり受け取ってしまうと、その瞬間に全体の金額から1割を持っていってしまうということになる。
逆にマンチ的に考えると、パーティの他のメンバーに金勘定を任せ、常に現物支給で装備更新や消耗品の補充を行えば、その手間(とGMの怒りを買う可能性)以外は何のデメリットもないカースとなる。
3-6.マナを吸う-重い・全面的
重さ:重い
条件:全面的
純粋な近接職でもMPを全く使わないということはほぼないため、セッションに1回は必ず発動してしまうカース。
ガメル(魔晶石)で解決できる問題ではあるが、《マナセーブ》《MP軽減》など戦闘特技1個分を帳消しにすると思うと、決して軽いとは言い難い。
一応、魔法拡大を行った後に消費MPが1点上昇するようにも捉えられるが裁定次第。
グループ4
4-1.鈍重な-重い・全面的
重さ:重い
条件:全面的
移動力によっては致命的になってしまうカース。
ドワーフなど特に敏捷度が低い種族は1ラウンド目に敵の方へと向かうことができなくなる場合がある。
敏捷度自体が下がるわけではないので、騎獣に乗る、移動力を上げる装飾品/魔法を使う、そもそも敏捷度を上げるなど対処のしようはあるだろう。
4-2.定まらない-致命的・場合による
重さ:致命的
条件:場合による
近接職や、元から《ターゲッティング》を必要としない魔法職などであればアタリとなるカース。一方、《ターゲッティング》《鷹の目》が必要な職業だと文字通り致命的になってしまう。
ただ、似たようなカースの「嘆きの」と比べると、起点指定の能力であれば問題なく使えることからだいぶマシである。
また、以降何個か続く、1d6を振って1が出ない限りノーペナルティ、つまり実際に受けるデメリットは字面の16.6%となるため、そのあたりも加味して強化のし直しを行うかを決めよう。
4-3.錯乱の-致命的・場合による
重さ:致命的
条件:場合による
16.6%カースのひとつ。
「定まらない」と対になる効果のカース。つまり、遠隔攻撃や、1m以上の射程を持つ魔法・能力を使う職業の場合はアタリとなり、近接職にとっては大外れとなる。
なお、乱戦エリアに突っ込んでいく職業でも遠隔攻撃を行う1Hマギシューや投擲フェンサーであればデメリットはない。
ちなみに、この裁定をするGMはいないとは思うものの、テキスト通りに読むと「対象:自身」の効果であっても、同座標のキャラクター1体にその効果を与えるようにも読めてしまう……かもしれない。
4-4.足絡みの-重い・全面的
重さ:重い
条件:全面的
16.6%カースのひとつ。
他の16.6%カースたちは職業によっては無視できるが、このカースは生命・精神抵抗判定しか行わない純粋なバッファー・回復役以外にとっては致命的。しかも、手番中に転倒するということになり、2ラウンドの間行動判定-2などというとんでもないデバフになる。
しかし、ただの行動判定-2ではなく転倒扱いであるということにミソが隠れている。つまり、転倒を防止する装飾品などで比較的容易に対策が可能であることから「重さ:重い」と評価した。部位も〈足〉と競合が少ない部位のため、〈スマルティエのアンクルスリーブ〉や、資金が十分あれば〈軽業のブーツ〉を使って実質ノーデメリットのアビス強化となる。
4-5.滑り落ちる-致命的・場合による
重さ:致命的
条件:場合による
16.6%カースのひとつ。
6分の1とはいえ、片手・両手に物を持つ職業すべてにとって避けたいカース。武器の持ち替えなどで対処するのも難しく、ダイス目を祈るほかない。
手にものを持つ職業では唯一、投擲攻撃を行い、手番の終わりには空手の状態になるミモレ型の投擲戦士であれば実質ノーリスクとなる。
どうしてもカースが変えられない場合、万が一に備えて予備の武器を持っておこう。
4-6.悪臭放つ-軽い・限定的
重さ:軽い
条件:限定的
強い悪臭を放つという、データとしてはともかくキャラとしては一番避けたい効果を持つカース。
いっぽう、不意打ちを行う場合を除けば戦闘にデメリットをもたらさないため、アビスカースの中ではかなり当たりの部類なのが悩ましい所。
隠密行動を要求してくるタイプのシナリオ・GMの場合は評価が少し変わってくるものの。高レベル帯になればどのみちパーティメンバーが魔法的手段でなんとかしてくれるかもしれない。
冒険者ランクが低いものとして扱うという効果も、「報酬の前借り」の限度額が低くなると捉えると地味な痛手である。
グループ5
5-1.醜悪な-軽い・限定的
重さ:軽い
条件:限定的
大したデメリットではないカース。アビス強化を施すほど愛用する武具であれば、買い替えたあとも保存しておいても損はないだろう。
フレーバーとしても、捉えようによっては禍々しい魔剣のように感じられるので全アビスカースで一番当たりといっても過言ではないカース。
売った時のリターンがかなり高いのであれば、売る直前にアビス強化をし直してカースを変えてしまうというのも手だ。
「悪臭放つ」と同じく、冒険者ランクが低くなる効果のほうがむしろ本体とも言える。
5-2.唸る-重い・限定的
重さ:重い
条件:限定的
シナリオによっては致命的になるカース。
隠密・危険感知判定を振るかどうかは完全にシナリオによるため、評価は卓の環境によって180度変わってくるとは思うものの、-4という効果量だけで見れば、全カースの中で最重量級。
唸る音がするとはいえ、味方の判定まで巻き込むわけではないので、自分が被害担当になる覚悟で呑み込もう。
5-3.ふやけた-重い・限定的
重さ:重い
条件:限定的
複合的な効果を持つカース。
武器と防具でデメリットが追加D-1、防護点-1と部分的に異なるが、どちらも避けたくはあるものの、効果の量としては他の致命的なカースに比べれば許容範囲。
また、共通で病気属性の効果に極端に弱くなるデメリットを持つ。こちらはかなり限定的なため、字面ほどの脅威はない。不安であればエンハンサーで【アンチボディ】を習得することで打ち消してもいいだろう。
ふやけた触感の武器ということで、スライムのおもちゃのような癒やし効果を期待してもいいかもしれない。
5-4.古傷の-軽い・全面的
重さ:軽い
条件:全面的
受ける回復量が減少するカース。
戦闘中に限って言えば、受ける物理・魔法ダメージが+1されるのと同じくらいか、少し軽いくらいのデメリットで、他のカースと比べれば大分マシに思える。
ただし、【リカバリィ】や【ヒールスプレー】、〈ポーションマスター〉でのポーション使用などで被回復回数が増えてくるとそれだけデメリットも大きくなるのに注意。
ただし、睡眠や〈救命草〉など非戦闘時の回復についても回復量が減少するということを覚えていなければならないため、その手間が一番のデメリットである。
5-5.まばゆい-致命的・全面的
重さ:致命的
条件:全面的
無条件で常に行動判定-1という短い内容に凶暴性が秘められたカース。
しかも、厄介なことに視界が悪いといっても暗いことによるペナルティではなく、まぶしいことによるペナルティと書かれている。つまり、暗視や〈ナイトゴーグル〉によってペナルティを無効化できないことを意味する。明るすぎることによるペナルティを軽減する何らかの能力があれば原理上は帳消しにできるが、筆者は思いつかなかった。
さらに、戦闘中に限らないため、探索中のもろもろの判定や先制・魔法知識判定ですら被害を被ってしまう。
-1というと微妙に努力でカバーできそうな気もするが、あまりにも被害範囲が広いため「致命的」の評価とした。できるなら強化し直した方が賢明だろう。
5-6.栄光なき-軽い・限定的
重さ:軽い
条件:限定的
せっかくいい出目が出たのに台無しになってしまう、心情的にはつらい効果。
ただ、36分の1でしか発動しない、かつ1日1回までのため、16.6%カースたちに比べれば良心的。さらに、ティキティキのように強制的に自動失敗にするわけではなく、単に振り直させられるだけなので、単純に効果の程度でいえば全カースの中でもマシな方。
「栄光なき」というフレーバーも大分格好がつく雰囲気のものなので、引き当てたらキープしたい。
グループ6
6-1.正直者の-軽い・限定的
重さ:軽い
条件:限定的
嘘をつかない限りはデメリットがないカース。
キャラにもよるが、PCは良心的な人物であることの方が多いはずなので、間違いなく全カースで一番当たりの部類に入るだろう。引き当てたらぜひキープしたい。
逆に、PCがこのカースを引き当てた場合、GMはぜひ嘘をつかないとまずい状況を作っていきたい
6-2.乗り物酔いの-重い・場合による
重さ:重い
条件:場合による
時間を厳密に管理するセッションでは致命的になるが、そうでなければまったく意味をなさないカース。
利を取るなら、長距離移動のたびに即休息など、1時間ほど時間が稼げそうなことを提案するといいだろう。あとは、GMがそれを受け取ってくれるかどうか次第だ。
6-3.碧を厭う-重い・場合による
重さ:重い
条件:場合による
レンジャー技能、とくにレンジャー用装備である〈グリーンベルト〉と非常に相性が悪いためレンジャー持ちは避けたいカース。
「乗り物酔いの」とは違い、どうあがいてもシナリオの舞台が自然環境であるかどうかは運(シナリオ)次第でるため、脅威度は高め。
6-4.我慢できない-軽い・全面的
重さ:軽い
条件:全面的
「おしゃれな」と同じく、金を浪費するタイプのカース。消費すべき額でいえばこちらの方がマシだろう。
金が使えないサバイバル環境におかれた場合、最大HP/MPが大きく減少してしまうというデメリットがかなり面白……重い効果であるため、ジャングルに放り込まれないかどうかを確認してからカースを受け入れよう。
最悪、予備の武具を買っておき、この武具はその場に打ち捨てるという選択肢もあるが、そんなときに下の「つきまとう」アビスカースと併発すると最悪の呪いの武具となってしまう。
6-5.つきまとう-致命的・限定的
重さ:致命的
条件:限定的
強化対象の武具以外の武具で命中力/魔法行使/回避力判定を行うと大幅なペナルティが発生するというカース。
効果量は-4と致命的ではあるものの、鎧・盾であれば実質デメリットがないようなもの。武器を一つしか持たない通常のファイター・グラップラーも特にデメリットはないが、2つの武器を使う両手利きフェンサーや両手利き1Hマギシューがこのカースに当たった場合は不運というほかない。
グラップラーでも(《飛び蹴り》→)〈投げ〉→《踏みつけ》で攻撃を行おうとするとどこかでペナルティを受けることになってしまうので注意。
6-6.のろまな-致命的・場合による
重さ:致命的
条件:場合による
戦闘準備ができなくなるカース。
原理上は手番が1回減っているようなものなので、場合によってはかなり重いデメリットとなる。
具体的には先制判定・魔法知識判定に対するバフ系の魔法・能力が使えなくなるため、スカウト・セージ担当のPCにこのカースが当たってしまった場合は他のPCと協力してでも強化しなおした方がいいだろう。
逆に先制・魔物知識のタイミングでヒマなPCであれば戦闘準備ができないことがクリティカルなデメリットとなることは少ない。ただし、後攻を取ってしまった場合の防御的能力の使用、特に《かばう》宣言ができないことは前線の崩壊を招くため、《かばう》担当は強化し直しを検討してもいいだろう。
おわりに
評価していて思ったのは、どのビルドに対しても思ったより高い確率でアタリが入っていることだ。パッと一読すると、「正直者の」のような明らかなアタリ以外はどれも五十歩百歩にしか見えないので、ひとつひとつ評価してみて得るものがあったと感じる。
アビス強化はリスクに対してリターンが小さいのがネックなのは変わりないが、アビスシャードが潤沢にある環境であれば、十分にいい武器が作れるのではないかと感じる。
1. 無題